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今の教育に欠けている事 本質から政治を読み解く 本質を見極める力
出口 様々な教育現場を見て思うのですが、おそらく松井先生の学生時代の環境と、多くの今の子どもたちが置かれている環境は、かなり違うのではないでしょうか。
 先ほどのマスコミ世論の問題ともつながる話なのですが、僕は言葉を「感情語」と「論理語」に分けて考えています。そして、今の子どもたちは、論理語が使えない。
 感情語とは、人間がもともと持っている、他者意識のない言葉だと考えています。例えば「ムカつく」とか「ウザい」などと言いますね。今の子はすぐ「ムカつく」と言って、自分の不満を誰か察してくれと願う。ダメなら突然キレるか、ひきこもるしかない。
 まさに赤ちゃんが泣くのと一緒です。自分が不満だから泣く、そうすると誰かがその不満を察して解消してくれる。誰も何もしてくれなかったらむずかってしまう。この感情語は、教育訓練を経て後天的に獲得する論理語と異なり、いわば肉体に篭った感情を音にした言葉です。
 なぜこのように最近の子供たちから論理語がなくなって、感情語でしかコミュニケーションできなくなったのかと言えば、議論をしなくなったり、難しい文章を読まなくなったからだと思うのです。文章はメールで沢山書くけれど、ほとんどが絵文字。あれは全部感情語なんですよ。そして、ゲーム、アニメ……。それが悪いとは思いません。しかし、今の子供たちは松井先生の時代と違い、一体どこで論理的訓練をやるのかと思うのです。
 感情語しか使えない人だらけの社会になってしまうと、まさに小泉元首相のようなワンフレーズ政治がうまくいってしまう。きちんと筋道で体系づけて説明しないから、反論のしようがない。感情語しか使えない人間がマスコミの中心になってきて、それでヒステリックな世論を形成してしまう。
 だから、根本的に教育のその部分を変えないと政治も変わらないし、マスコミも変わらないのではないかと僕は思うのです。
松井  本当にそうですね。実感します。ワンフレーズポリティクス、要するに一言でパッとその場の空気を言い表せるような言葉、たとえば「あー、その議論ウザい」という一言でラベリングしてしまうのです。「その議論のどこがおかしくて、どこが受け容れられるのか?」と尋ねようとしても、テレビではさせてくれません。「いや、端的に15秒で説明するのが政治家の能力、メディアで生きる人間の能力ですよ」と言えば聞こえはいいのですが。
 おっしゃったように「あ、それいかしてるね」といった感情語は、どこの国でも言いますよね。アメリカ人だってIt’s coolって言う。でもそういう言葉だけのキャッチボールで、政策を議論されてしまうのはすごく危ない。
 例えば、私は昔官僚でしたが、「過去官僚」という言葉があるのです。そういうレッテルをある人が貼って、それを過去官僚イコール、守旧派、抵抗勢力と……もう論理ではないんですよ。
 小泉さんはある種天才で、政治闘争におけるそういう言葉の使い方がものすごくうまかった。だけど同時に、国民の皆さんに固いものを噛む力みたいなものがなくなっていったような気がします。
  咀嚼して噛みこんでみたときに、中に砂が入っているのか、噛み応えのあるコシがある食べ物なのか、味わいがじんわり出てくるのか、そういう噛みこむ力がなくなって、全部流動食でパッと口に含んで甘い、辛い、美味しい、そういう食べ物しか入らない。ちょっと固くて、口の中で20回30回噛むような食べ物はもういらない。俺たちそんな面倒くさい説明は聞きたくない、ウザい……社会としてはものすごく危険です。
出口  ひどい状況になっています。だから世論も右に左に180度ヒステリックに揺れ動いてしまう。
松井  おっしゃるようにヒステリックですね。それが情感、情感豊かな社会ということだったら良いと思うのです。そうではなくて、「いかしてるな」って思ったものは受け容れられるけど、その判定を瞬時にしてしまう。
 ツイッターではいろいろな人がそこで出会ったり、できた繋がりのなかでさざなみのような連鎖反応が伝わっていく。それはネガティブなものもポジティブなものもありますけど、素晴らしいメディアだと思うのです。しかし危険もある。あの140文字に制限された世界では、端的な感情表現がどうしても多くてね。
 テレビが出てきた時に、「新聞に比べてどうか」という議論があったように、それだけでツイッターのすべてを否定することはできないでしょう。世の中そういう時代になっているのだから、その中でどういうコミュニケーションを考えていくかということですね。  
出口  だからこそ、論理力がないと怖いんですよね。教育の改革が急務だと痛感しています。

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次回対談のゲストは無料英語学習サイト「smart.fm」の創設者として 話題のエリック・ヤングさんとアンドリュー・スミスさんのお2人です。ぜひ ご期待ください!