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対談・真剣勝負
> 第五回 太田宏(フォレスト出版代表取締役) & 長倉顕太(フォレスト出版取締役編集部長)
出口
では、今度は僕から質問してもいいですか?
太田
はい、どうぞ。
出口
フォレスト出版は、ベストセラーを次々に出して、いま最も注目されている出版社ですよね。
太田
ありがとうございます
出口
最初に大ベストセラーが生まれたのは、いつぐらいの、どの本からなのですか?
太田
そうですね、やっぱり『あなたの会社が90日で儲かる!』でしょうね。神田昌典さんが1999年12月に出した本なのですが、その当時、神田さんはまだ無名だったのです。
出口
それって、すごいことですよね。有名作家の本を出せば売れるのは当然なのですけれど、無名の人の本をベストセラーにしていくわけですからね。
その神田昌典先生との出会いのきっかけは、どのようなところからだったのですか?
太田
飲み会の時、私が友人に「誰か面白い人いないか?」と聞いたら、「変わったビジネスコンサルタントがいるよ」と、紹介されたことがきっかけです。
彼には変わった点が2つありまして、まず1つは、コンサル料が異様に安いということ。1年間10万円。しかも返金保証付き。顧客にDMを出して反応率がこれまでの200%に達しなかったらばコンサルティング料は返金します、という風変わりなことをしているのです。
あともう1つ。実は彼は、うちが初めてではなく、1冊目はダイヤモンド社から出していたのです。『小予算で優良顧客をつかむ方法』という古めかしいタイトルの本の、著者プロフィールの下に、「24時間応答電話 ここにお電話してください」と、書いてあるのです。
「24時間応答電話」、今から11年前の話なのですけれど、すごいシステムを考えるなあと思いまして。
出口
すごい発想ですね。
太田
だから、すぐ電話したんですよ。そうしたら留守電だったんです(笑)。
出口
なるほど、「24時間応答」ですね。
太田
24時間ですよね。ここら辺のペテンが利いているじゃないですか。これは面白い人だと思って。で、全然売れてなかったのを幸いに、早速京王プラザでお会いをして。
本当に変わっていたんですよ。ウォートン・スクール出身だと聞いていたから、きっと紺のストライプのスーツに真赤なネクタイをして、当時はこれにサスペンダーを着けていると、ちょうどウォール街のファンドマネジャーみたいになるのですが、私はそういう人を想像していたのです。そしたらリュックサック背負ったお兄ちゃんがやってきた。それが神田さんだったのです。
話がすごく面白かったのを今でも覚えていますね。
出口
本を出した時、「これは売れる」という予感はありましたか?
太田
全然。
出口
全然無かったのですか?
太田
全然ですよ。ただ、時代が求めていましたね。1999年ですからね。
当時の日本の状況は、89年末に、大納会で株式バブルがはじけて以来、「失われた10年」と呼ばれている、まさにそんな時代でしたからね。
出口
まさに99年ですね。
太田
そこでようやく、「良い物を作れば売れる」という時代から、「良い物を作るだけではダメだ、どうすれば売れるのかを自ら考えないと売れない時代なのだ」ということが、全面的に世の中で語られるようになった。だから社会があの本を受け入れたのだと思うのです。早過ぎたら、多分売れなかったと思いますね。
出口
その頃、長倉さんは、フォレスト出版にいらっしゃったのですか?
太田
まだいない。多分、アメリカで博打を……。あ、ポーカーやってたよね。
長倉
あの時代のことは……。
出口
フォレスト出版に入社される前は、アメリカに?
長倉
いや、ちょっと別のところにいまして。業界誌の記者みたいなことをやっていたのですが、本当にフォレスト出版に入ってからは変わりましたね、人生が
出口
フォレスト出版には、どういう経緯で入社されたのですか?
長倉
いや、新聞の求人見て応募して、そうしたら拾ってもらえたっていう感じですね。その当時は、本当に何も知らなかったんです。
出口
長倉さんの採用は、太田社長が直接決められたんですか?
太田
確かそうでしたね。
出口
入社された頃のイメージと今ではだいぶ違いますか?
太田
基本、変わってないです。
出口
じゃ、最初から今の長倉さんだったわけですか。
太田
目つきが良くなりましたよね(笑)。
長倉が最初に担当した本ができた時に、「お祝いだ」って言って、二人で六本木のクラブに飲みに行ったんです。忘れもしませんけれども、そこのクラブのお姉さんから「長倉さん、髪の毛濃いからもっと軽くしたほうがいいよ」って言われましてね、「どうしたら軽くなるんですか?」って彼が聞いたら、「染めちゃえばいいのよ」って言われたんだよね。で、彼が私に「染めていいっすか?」って言うから、「いいんじゃない」って言ったら、翌日染めてきたんだよな。
出口
フォレスト出版の社員の皆さんを見ていると、確かに髪型や服装が非常に自由ですよね。これは太田社長のお考えなのですか?
太田
いや、本当はみんな坊主にしたかったんですけれども(笑)、そうするとみんな辞めちゃうから、そこはこだわらないほうがいいかなあと。
毎日機嫌よく働ければ、それでいいんじゃないかと思っているんですよ、そこは。その他が全部厳しいですから。
出口
自由な社風も、フォレストの良さの1つなのでしょうね。