出口汪

 昨年の10月、教育再生会議第四次提言が発表され、五年後には大学入試制度が抜本的に変わることが明らかになりました。今の子供が大学入試を迎える頃には、今とはまったく異なる新しいルールに基づいた試験を受けることになるのです。改革の眼目は、知識偏重の試験を是正し、「言語運用能力」、「数理論理力」、「表現力」を重視するということです。
 この三つの根底にあるのが実は「論理力」なのです。

 今や、細かい記憶は必要なくなりました。なぜなら、誰でも携帯などで検索できるようになったからです。計算はコンピュータの仕事であり、漢字は知らなくてもワープロが変換してくれます。社会が要求している能力は、これまでのものとはまったく異なるものとなったのです。今までのような決められた答を時間内に要領よく探す能力ではなく、自分で問題を発見し、自分で問題を解決する能力なのです。そのためには日本語を論理的に扱う能力こそが不可欠となっていきます。
 
 ところが、残念なことにマスコミをはじめ、各教育機関はまだ日本の教育の新しい方向性について深い認識ができていないように思われます。そこで、このサイトで最新の情報を提供すると同時に、私から様々な提言、情報発信を行っていきます。

 これからの時代は自分の責任において、自分の教育を選ばなければなりません。その選択しだいで子供の将来は大きく変わってしまいます。ところが、子供は自分で自分の教育を選択することができないのです。子供の教育を選択するのは親であり、それゆえ、親の責任が重くなります。親こそ深い知恵を必要とするのです。

 このサイトを通じて、小学生の子供たちがのびのびと育ち、ぐんぐんと本物の力をつけてくれることを願っています。

  • ○● 『出口先生の頭がよくなる漢字』特集●○
    ● 低学年生版 特別解説 ―後半― ●

    前回はSTEP1を解説いたしました!今回は、STEP2、STEP3の解説です。

    STEP2

    (  )に入れるのにふさわしい言葉を選ぶ問題です。この問題を通して、漢字の意味をしっかりと定着させると同時に、言葉を文脈に合わせて使いこなすトレーニングをしていきましょう。

    (クリックで大きく表示)
    出口先生の頭がよくなる漢字1年生版 p19

























    ④の問題をみてください。

    ●ネコを(  )ひきかっている。

    この( )の部分に以下の数字のどれかを入れ、さらに漢字に変換する必要があります。

    ●ゴ サン イッ

    ここでは数字の「読み方」が、後に続く言葉によって変化することを理解してほしいのです。
    この文だけではネコが何匹いるのか判断がつかないのですが、三なら直後の言葉が「三びき」、一なら、「一ぴき」と読み方が変化します。そこで、答えは「五ひき」となるのです。単に漢字を覚えるのではなく、漢字を使って日本語について考える時間をもつことが大切なのです。
    次にこの問題をみてください。

    (クリックで大きく表示)
    出口先生の頭がよくなる漢字1年生版 p76

























    ③の問題は、

    ●(  )□中をさん歩した。

    となっています。

    さて、これはどこでさん歩したのかを考える問題ですが、「川」の中をさん歩することはできません。「田んぼ」の中をさん歩したなら、お百姓さんに怒られます。このように漢字を通して、子どもたちが物事を考えるきっかけにしてほしいのです。

    さらに、空欄に助詞を入れることによって、徐々に助詞の使い方も習熟させていきます。
    ④の問題は、

    ●(  )□リスを見つけた。

    という文章の( )の中に、

    ●カワ モリ イシ

    のいずれかを入れる問題ですが、
    これもリスがどこにいるのか、子どもに考えさせてください。もちろん、森の中ですよね。

    STEP3

    最後は正確な一文を作成する問題です。そのためには、言葉の規則を知っていなければなりません。
    これまで繰り返してきたように、漢字は覚えるのではなく、それを使いこなし、それによって考える力をつけることが大切です。
    STEP3のトレーニングによって、より生きた文法が自然と子どもの頭の中に定着していきます。

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    出口先生の頭がよくなる漢字1年生版 p116

























    この問題に取り組む際には、まず述語を探します。「かっている」が述語なので、それに対する主語を探すと、「ぼくは」となります。
    「ぼくはかっている。」と文の骨格ができあがるのですが、それだけでは何をかっているのか分からないので、この文は未完成です。
    そこで「ぼくは犬□かっている」となります。
    残った「大きくて」「かしこい」はどちらも「犬」を説明する言葉です。
    次に「大きくて」「かしこい」の順番を考えると、「大きくて」→「かしこい」→「犬」となります。決して、「かしこい」→「大きくて」→「犬」とはならないことを注意させて下さい。

    最後は□に助詞を入れて完成です。
    このように一文を作成するだけでも、低学年の小学生にとってかなり頭を使う作業となるのです。
    毎日漢字を使って頭を使うことが、自分の頭で考える子どもを育てることになります。
    まずは一日でも早く、漢字をただ覚えるという学習方法を辞めて、生きた漢字を親子で一緒に覚えていってください。



    ●特設サイトオープン●
    「出口先生の頭がよくなる漢字」の特設サイトがオープンいたしました!
    出口先生が動画で解説!
    ぜひチェックしてみてくださいね。
    http://www.deguchi-hiroshi.com/atamaga_yokunaru.html

    「出口先生の頭がよくなる漢字」特集は今週でおしまいです!ありがとうございました!

  • ○● 『出口先生の頭がよくなる漢字』特集●○
    ● 高学年生版 特別解説 ―後半― ●
    (本記事では、出口先生の頭がよくなる漢字 小学4年生版サンプルとして掲載しています。小学3年生~6年生はすべて同じ仕組みになっていますので、ぜひ参考にしてみてください。)

    前回は、STEP1・2を解説いたしました。
    今回は、この本の最大の特徴でもある、STEP3の解説です。

    STEP3

    (クリックで大きく表示)
    出口先生の頭がよくなる漢字4年生版 p54

























    STEP3では、言葉を並べかえて、正確な一文を作成します。
    一文には要点となる主語と述語があり、それらを説明する飾りの言葉がついています。
    まず主語と述語という要点をしっかりとつかまえることです。名詞は主語と目的語になる言葉であり、動詞、形容詞、形容動詞は述語になる言葉なので、ここでも本書の「名詞」「動詞」「形容詞」といったカテゴリー分けが生きてくるのです。

    次に、どの言葉がどの言葉につながっているかを考えます。
    さらには助詞・助動詞という付属語の使い方も大切になっていきます。
    このようにSTEP3では、言葉の規則に従って正確な文を作成するのですから、生きた文法力を確実に身につけることで、記述力をも養成することができるのです。

    画像の一番左、⑥番の問題をみてください。
    この問題では、

    ケッカ 悪いも しだいだ 良いも すべては

    という5つの単語を並びかえます。

    問題を解くときには、まず述語から考えます。なぜなら、日本語においては主語が省略されることが多いからです。
    この文章の述語は「結果=しだいだ」。
    それに対する主語は「すべては」。
    そこで、「すべては〜結果しだいだ」となります。

    もちろん、この時、「結果」という漢字が書けるかをチェックすることになります。
    残りの「悪いも」「良いも」の言葉のつながりを考えると、「良いも悪いも」となります。
    そこで、「良いも悪いもすべては結果しだいだ。」と一文が言葉の規則に従って作成できるのです。

    こうした訓練により、日本語はすべて言葉の規則で成り立っているのだと分かるようになり、自然と正確な日本語の使い方が身についていきます。

    子どもたちは生涯にわたって日本語を使って生きていきます。小学生の頃から、豊かな語彙力を身につけながら、日本語を自在に操る力をつけることで、読解力、記述力、論理力などを鍛えられたら、その子どもは生きていくための一生の武器を手に入れたことになるのです。

    次回は低学年版を特別解説!お楽しみに!

  • ○● 『出口先生の頭がよくなる漢字』特集●○
    ● 低学年生版 特別解説 ―前半― ●
    (本記事では、出口先生の頭がよくなる漢字 小学1年生版をサンプルとして掲載しています。小学1年生~2年生はすべて同じ仕組みになっていますので、ぜひ参考にしてみてください。)

    情報は、言語によって子どもの脳に少しずつ書きこまれていきます。その言語情報の大半は以前お話したように漢字でできています。
    だから、漢字は読み・書きを覚えるよりも、意味とその使い方が大切なのです。子どもが漢字をどのように習得していくかが、その後の将来の知的活動に大きな影響を及ぼします。
    そこで、STEP1は漢字の中心となる意味をしっかりと理解できるようにつくりました。
    小学校低学年の勉強は、親のサポートが必要です。ぜひ親子で取り組んでみてください。

    STEP1

    小学1・2年生で学習する漢字は、身の回りにある、しかも、目に見える「形のあるもの」が中心です。
    ではSTEP1から解説します。

    (クリックで大きく表示)
    出口先生の頭がよくなる漢字1年生版 p64

























    たとえば、このページの上部にある「草」をみてください。

    「草」という漢字を練習したあと、
    シカは(  )食動物だ。

    という文章に漢字を入れます。

    漢字を覚えるときに、ただ書いて覚えさせるだけでは、もったいありません。
    漢字の勉強をただの暗記で終わらせないために、たとえば、一緒に外に出て草を見た際に「草という漢字は書ける?」と子どもに言葉をかけてみるのです。
    そうすることで漢字と目に見えるものとの繋がりができ、漢字が意味のあるものとして、しだいに子どもの脳に情報として書きこまれていきます。すると、「草」という漢字を見るたびに、子どもの脳裏に実際の草の映像が浮かぶようになっていくのです。

    このようにして漢字を覚えていけば、「草食動物」が「草を食べる動物のことだ」とわかるようになり、そこから派生して、さまざまな言葉を覚えるようになるのです。
    漢字学習をただの暗記にしてしまうことがどれだけもったいないことなのか、少しはお分かりいただけたでしょうか。
    子どもたちはこれから学校生活の中で、何度も漢字を覚えるのですから、せっかく覚えるのなら生きた漢字を「楽しく」覚えていってほしいと思っています。



    ●特設サイトオープン●
    「出口先生の頭がよくなる漢字」の特設サイトがオープンいたしました!
    出口先生が動画で解説!
    ぜひチェックしてみてくださいね。
    http://www.deguchi-hiroshi.com/atamaga_yokunaru.html

    次回はSTEP2.3の解説です!

  • ○● 『出口先生の頭がよくなる漢字』特集●○
    ● 高学年生版 特別解説 ―後半― ●
    (本記事では、出口先生の頭がよくなる漢字 小学4年生版サンプルとして掲載しています。小学3年生~6年生はすべて同じ仕組みになっていますので、ぜひ参考にしてみてください。)

    前回は、STEP1・2を解説いたしました。
    今回は、この本の最大の特徴でもある、STEP3の解説です。

    STEP3

    (クリックで大きく表示)
    出口先生の頭がよくなる漢字4年生版 p54

























    STEP3では、言葉を並べかえて、正確な一文を作成します。
    一文には要点となる主語と述語があり、それらを説明する飾りの言葉がついています。
    まず主語と述語という要点をしっかりとつかまえることです。名詞は主語と目的語になる言葉であり、動詞、形容詞、形容動詞は述語になる言葉なので、ここでも本書の「名詞」「動詞」「形容詞」といったカテゴリー分けが生きてくるのです。

    次に、どの言葉がどの言葉につながっているかを考えます。
    さらには助詞・助動詞という付属語の使い方も大切になっていきます。
    このようにSTEP3では、言葉の規則に従って正確な文を作成するのですから、生きた文法力を確実に身につけることで、記述力をも養成することができるのです。

    画像の一番左、⑥番の問題をみてください。
    この問題では、

    ケッカ 悪いも しだいだ 良いも すべては

    という5つの単語を並びかえます。

    問題を解くときには、まず述語から考えます。なぜなら、日本語においては主語が省略されることが多いからです。
    この文章の述語は「結果=しだいだ」。
    それに対する主語は「すべては」。
    そこで、「すべては〜結果しだいだ」となります。

    もちろん、この時、「結果」という漢字が書けるかをチェックすることになります。
    残りの「悪いも」「良いも」の言葉のつながりを考えると、「良いも悪いも」となります。
    そこで、「良いも悪いもすべては結果しだいだ。」と一文が言葉の規則に従って作成できるのです。

    こうした訓練により、日本語はすべて言葉の規則で成り立っているのだと分かるようになり、自然と正確な日本語の使い方が身についていきます。

    子どもたちは生涯にわたって日本語を使って生きていきます。小学生の頃から、豊かな語彙力を身につけながら、日本語を自在に操る力をつけることで、読解力、記述力、論理力などを鍛えられたら、その子どもは生きていくための一生の武器を手に入れたことになるのです。

    次回は低学年版を特別解説!お楽しみに!

  • ○●『出口先生の頭がよくなる漢字』特集●○
    これは今までどこにもなかった画期的な漢字本です。
    まさに子どもたちの人生を変える一冊となるでしょう。

    (クリックで大きく表示)
    小学1~3年 2014年8月10日発売
    小学4~6年 2014年7月19日発売

    新しい時代の漢字本
    今までの漢字はただ読み・書きができればいいと、単調な作業を強いるだけのものでした。
    しかし、漢字はワープロが自動変換してくれるようになった今、単に読み・書きに終始した漢字の練習は何の役にも立たなくなったのです。

    私たちは情報世界に生きている
    赤ちゃんの脳はまだ何の情報も書き込まれていない、真っ白な状態です。その白紙の脳に最初に情報を書き込むのが、母親の仕事です。
    そして、その情報は主に母親の言葉によって書き込まれるのです。
    子どもが幼稚園に通い始めると、脳には他人の言語によって新たな情報が書き加えられます。
    そして、小学校に入ると、授業、教科書、読書など、活字によって様々な情報が書き加えられていくのです。

    私たちは現実の物質的世界に生きていると同時に、こうした言語による情報世界に生きています。
    学習、思考、論理、そして感性までもが、こうした情報世界の中での行為であり、それを主に司っているのが日本語なのです。

    日本語は漢字中心でできている
    私たちの情報世界は日本語によって構築されているのですが、その日本語とはまさに漢字中心でできています。
    日本語は漢字とひらがな(カタカナ)で成り立っているのですが、助動詞・助詞・接続詞・副詞がひらがなで、それ以外は基本的には漢字です。
    つまり、自立語は和語や外来語をのぞけば、すべて漢字とも言えるのです。
    自立語とは単独で意味を持つ言葉。
    だから、漢字で最も大切なのは「意味」であり、私たちはその漢字で各自の情報世界を構築していくのですから、「漢字でものを考える」といっても過言ではありません。
    漢字で大切なのは、読み・書きではなく、意味であり、その論理的な使い方にあるのです。
    そこで、『出口先生の頭がよくなる漢字』では意味とその論理的な使い方に徹底的にこだわりました。

    大人も一緒に取り組んでほしい
    わたしが開発した「論理エンジン」は、日本語を習得したことを前提に、それを論理的に扱うためのプログラム・教材です。
    ところが、小学生はまだ漢字の習得段階なのです。
    1年生から漢字を習うにつれて、子どもたちの情報量は格段と増えていきます。最初は目の前にある物、目に見える形のある物から、しだいに目に見えない、形のない物、体験したことのないもの、気持ちを表現するもの、抽象的な世界へと、漢字によってその情報世界が広がり、深まっていくのです。
    その際の漢字の習得の仕方が、その後の子供の思考力に大きな影響を与えるのです。
    なぜなら、わたしたちは生涯にわたって、日本語を使う限り漢字で物を考えるのですから。

    『出口先生の頭がよくなる漢字』は、子どもたちの言語運用能力を鍛え、脳内にある言語OSを徹底的に強化していきます。まさに小学生向け「論理エンジン」と言えるでしょう。
    ぜひ親子で楽しみながら、学習してほしいのです。言葉を習得することがいかに新鮮で、面白いか、きっとそれを体感することができるはずです。

    一学年下から取り組むこと
    『出口先生の頭がよくなる漢字』を無理なく取り組むには、じつはコツがあるのです。学年別になっているのは、各学年で習得すべき漢字が決まっているからです。
    ところが、『頭がよくなる漢字』はある程度漢字を習得した上で、その使い方を徹底的にトレーニングした方が効果的です。
    たとえば、小学四年生だと、まだ四年生の漢字をすべて習得したわけではないので、一つ下の学年から始めると、面白いように頭に入ってくるでしょう。
    (本当は小学六年生でも一年生から順次取り組んだ方がはるかに効果的です。)

    以下、「この本の使い方」を特別に大公開します!
    いかに画期的な漢字本なのか、お分かりいただけるはずです。

    (クリックで大きく表示)








    来週は、実際に問題をご紹介いたします。お楽しみに!

  • ○● 『出口先生の頭がよくなる漢字』特集●○
    ● 高学年生版 特別解説 ―前半― ●
    (本記事では、出口先生の頭がよくなる漢字 小学4年生版サンプルとして掲載しています。小学3年生~6年生はすべて同じ仕組みになっていますので、ぜひ参考にしてみてください。)

    STEP1

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    出口先生の頭がよくなる漢字4年生版 p50

























    STEP1では漢字の読み書きだけでなく、漢字一字が持つ本来の意味を理解します。そのために、本書は「名詞」「動詞」「形容詞」などのカテゴリー別になっています。

    ここでは「食べ物に関わる名詞」をグループで覚えます。
    左上の「果」という漢字について解説しましょう。
    「果」には、大切な意味が二つあります。
    一つは「木の実」「くだもの」という意味。他の漢字と組み合わせ、大抵は二字熟語として使われます。
    「木の実」「くだもの」という意味で使われる熟語は例えば以下のようなものです。

    ●果肉入りのジュースを飲む。
    ●果実がたわわに実った。

    もう一つは「原因や理由があって起こるもの」という意味。

    ●がんばれば、結果がついてくる。

    このように漢字の持つ意味を知ることで、二字熟語の意味もわかるようになるのです。

    STEP2

    (クリックで大きく表示)
    出口先生の頭がよくなる漢字4年生版 p51

























    本来漢字は、単に読み・書きさえ出来ればよいというものではありません。今、中学受験から大学受験で一番問題になっているのは、受験生の語彙力の欠如です。

    たとえば、選択肢にある語彙の違いを理解し、文章の中で適切なものを選ぶには、漢字の読み・書きを知っているだけでは対処できません。
    そこで、STEP2では、一文の中の空所に、選択肢の中から適切な二字熟語を選ぶ練習をします。その際、書き取りだけではなく、言葉の意味、そして、言葉の使い方を知る必要があります。
    そうやってしだいに生きた語彙を身につけていく必要があるのです。

    「もう一つ、STEP2で大切なことは、一つの語彙から、次々と雪だるま式に語彙力を増やしていくことです。
    雪だるまは最初に芯をしっかりと固めれば、後は転がすだけで次第に大きくなっていきます。そうした方法を雪だるま式と名付けたのですが、そのために本書は様々な工夫をしています。
    ⑤番の問題を見てください。

     今年の(  )は胸を張っていいものだった。
     ケッカ カジツ セイカ

    「果実」は果物という意味ですから、文脈上合いません。問題は、「結果」と「成果」のどちらが適切かです。
    もちろんどちらを選んでも間違いとは言えませんが、よりどちらの言葉が適切かと考えるときは、語彙力が必要になってくるのです。
    「胸を張っていいもの」につながる言葉は、単に「結果」ではなく、「結果が成る」という意味をもつ、「成果」です。「結果」にはプラスの意味はありませんが、「成果」となると必ずプラスの意味で使われるからです。このように、漢字の意味を考え、語彙力を身につけていくことが出来るのがこの本の特徴なのです。

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    『出口先生の頭がよくなる漢字』特別サイトオープン!
    出口先生からの動画メッセージ・解説もあります!
    サイトはこちら http://www.deguchi-hiroshi.com/atamaga_yokunaru.html
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    次回はSTEP3の解説です!お楽しみに!

  • ○●『出口先生の頭がよくなる漢字』特集●○
    これは今までどこにもなかった画期的な漢字本です。
    まさに子どもたちの人生を変える一冊となるでしょう。

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    小学1~3年 2014年8月10日発売
    小学4~6年 2014年7月19日発売

    新しい時代の漢字本
    今までの漢字はただ読み・書きができればいいと、単調な作業を強いるだけのものでした。
    しかし、漢字はワープロが自動変換してくれるようになった今、単に読み・書きに終始した漢字の練習は何の役にも立たなくなったのです。

    私たちは情報世界に生きている
    赤ちゃんの脳はまだ何の情報も書き込まれていない、真っ白な状態です。その白紙の脳に最初に情報を書き込むのが、母親の仕事です。
    そして、その情報は主に母親の言葉によって書き込まれるのです。
    子どもが幼稚園に通い始めると、脳には他人の言語によって新たな情報が書き加えられます。
    そして、小学校に入ると、授業、教科書、読書など、活字によって様々な情報が書き加えられていくのです。

    私たちは現実の物質的世界に生きていると同時に、こうした言語による情報世界に生きています。
    学習、思考、論理、そして感性までもが、こうした情報世界の中での行為であり、それを主に司っているのが日本語なのです。

    日本語は漢字中心でできている
    私たちの情報世界は日本語によって構築されているのですが、その日本語とはまさに漢字中心でできています。
    日本語は漢字とひらがな(カタカナ)で成り立っているのですが、助動詞・助詞・接続詞・副詞がひらがなで、それ以外は基本的には漢字です。
    つまり、自立語は和語や外来語をのぞけば、すべて漢字とも言えるのです。
    自立語とは単独で意味を持つ言葉。
    だから、漢字で最も大切なのは「意味」であり、私たちはその漢字で各自の情報世界を構築していくのですから、「漢字でものを考える」といっても過言ではありません。
    漢字で大切なのは、読み・書きではなく、意味であり、その論理的な使い方にあるのです。
    そこで、『出口先生の頭がよくなる漢字』では意味とその論理的な使い方に徹底的にこだわりました。

    大人も一緒に取り組んでほしい
    わたしが開発した「論理エンジン」は、日本語を習得したことを前提に、それを論理的に扱うためのプログラム・教材です。
    ところが、小学生はまだ漢字の習得段階なのです。
    1年生から漢字を習うにつれて、子どもたちの情報量は格段と増えていきます。最初は目の前にある物、目に見える形のある物から、しだいに目に見えない、形のない物、体験したことのないもの、気持ちを表現するもの、抽象的な世界へと、漢字によってその情報世界が広がり、深まっていくのです。
    その際の漢字の習得の仕方が、その後の子供の思考力に大きな影響を与えるのです。
    なぜなら、わたしたちは生涯にわたって、日本語を使う限り漢字で物を考えるのですから。

    『出口先生の頭がよくなる漢字』は、子どもたちの言語運用能力を鍛え、脳内にある言語OSを徹底的に強化していきます。まさに小学生向け「論理エンジン」と言えるでしょう。
    ぜひ親子で楽しみながら、学習してほしいのです。言葉を習得することがいかに新鮮で、面白いか、きっとそれを体感することができるはずです。

    一学年下から取り組むこと
    『出口先生の頭がよくなる漢字』を無理なく取り組むには、じつはコツがあるのです。学年別になっているのは、各学年で習得すべき漢字が決まっているからです。
    ところが、『頭がよくなる漢字』はある程度漢字を習得した上で、その使い方を徹底的にトレーニングした方が効果的です。
    たとえば、小学四年生だと、まだ四年生の漢字をすべて習得したわけではないので、一つ下の学年から始めると、面白いように頭に入ってくるでしょう。
    (本当は小学六年生でも一年生から順次取り組んだ方がはるかに効果的です。)

    以下、「この本の使い方」を特別に大公開します!
    いかに画期的な漢字本なのか、お分かりいただけるはずです。

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    来週は、実際に問題をご紹介いたします。お楽しみに!

  • 第9回(2)
    すらすら書けるようになる!
    とっておきの文章トレーニングとは?

    文章力アップのポイントとは?

    「うちの子どもは作文が嫌いなんです」という相談をたびたび受けます。しかし、書く前から嫌いだったという子どもはいません。作文嫌いには理由があるはずです。

    まず、わたしが常々ふしぎに思うのは、国語の「作文指導」です。「本を読みなさい」「新聞のコラムや社説をまとめなさい」「日記を書きなさい」。このような先生たちの言葉は、何を意味しているのでしょうか? 「わたしには教えられないから、自分で会得しなさい」と、言っているのに等しいのではないでしょうか?

    国語については作文に限らず、「読む」「話す」「要約する」いずれも同じように、先生は練習方法を提案するだけで、「こうすればできるようになる」という実践的な指導は、ほとんどありません。これが、多くの人が「国語の授業で何を教わったか覚えていないし、国語の勉強は役に立たなかった」という理由です。

    では、国語は具体的な指導ができない特別な科目なのでしょうか? いいえ、そんなことはありません。
    以下の問題文を見てください。
    (『日本語論理トレーニング』小学6年 習熟編 p54-55/小学館 )

    (クリックで大きく表示)

    この問題では、「反論をする」作文を書くことが求められています。そのために、どのような順序で自分の意見を書けばよいかをわかりやすく解説し、さらに、例文を示して、このような形式で初めて作文を書く子どもにとって、抵抗感のないよう工夫をしています。

    以下のような点が明確になっているだけでも、子どもはずいぶんと書きやすくなるのです。
    *まず、「反対である」という意見から述べる文章の書き出し方。
    *その結論の根拠を書くときの接続詞と、理由・具体例の見本。
    *最後に、結論を述べるときの接続詞と、締めくくり方。

    このように、問題にどのように取り組むのかが分かっていれば、子どもは「やってみよう」と思えるもの。ただ、「書きなさい」と言うだけでは、子どもはどうしていいかわからず、満足のいく結果も評価も得られません。しまいに劣等感を抱き、作文が嫌いになってしまうのです。

    反対に、作文のポイントさえ具体的に提示していれば、自分の手で一つの作文を完成させることができ、その満足感が子どもを次の問題へと後押しするはずです。

    たとえば、サッカーの初心者に基礎もルールも教えなければ上手くなるわけはなく、試合にも勝てるわけがありません。少しの経験と才能だけで出来る子もいるかもしれませんが、それも長くは通用しないでしょう。きちんと練習を続けた子どもこそ、良い結果を出すものです。

    お母さんお父さんは、ぜひ、日本語を論理的に学ぶ我が子の名コーチになってあげてください。5年後10年後、その積み重ねは、お子さんの将来を支える大きな力となることでしょう。
    (終)

    次週は、『出口先生の頭がよくなる漢字』特集です!

  • 第9回(1)
    すらすら書けるようになる!
    とっておきの文章トレーニングとは?

    画期的な漢字教材
    発 売 決 定!

    近年、塾や学校の先生から、「今の子どもたちには語彙力がありません。どうしたらいいですか?」という相談を受けるようになりました。これは困ったことです。なぜなら、まずしい語彙からは、わかりやすく読みやすい文章は生まれないからです。

    では、どうすれば語彙は増えるのでしょうか?ヒントは「漢字を勉強すること」にあります。
    じつは日本語の場合、語彙力は漢字を書く力と大いに関係しているからです。

    日本語は、名詞や動詞、形容詞といった「自立語」と、助詞や助動詞などの「付属語」で成り立っています。そして、自立語はそのほとんどが漢字であらわされます。つまり、漢字を覚えるということは、言葉の意味を習得するということにつながります。その力が不足しているままでは、文章を書く力が育つわけがありません。

    そこで私は、学年ごとに学べる『頭がよくなる漢字』シリーズを開発しました。この教材を一言でいうなら、「漢字学習をしながら日本語そのもののトレーニングをする問題集」です。

    (クリックで大きく表示)
    小学1~3年 2014年8月10日発売
    小学4~6年 2014年7月19日発売

    この問題集は、これまでのような漢字をひたすら書いて覚えるような問題集ではありません。読み方を知り、意味を知り、さらにその使い方を知ることによって、漢字の力がそのまま語彙力となってしっかり身につく仕組みになっています。

    まず、漢字の意味を一つ学び、次に、他の漢字と組み合わせてできる二字熟語の意味を文章から読みとる練習をして、語彙を雪だるま式に増やしていくスタイルを取っています。

    このように、漢字や熟語の読みを事前に練習したあと、文中でさまざまな漢字の使い方を練習します。カタカナを漢字に直し、バラバラになった文節を適切に並べ直すなど、まるでクイズのように楽しみながら、主語・述語を見つけ、助詞・助動詞を正しく使う練習ができるのです。この問題集なら、漢字を学びながら、正しい文法を身につけることができるわけです。

    こういった練習を続けていくと、語彙・文法ともに正確な文章が書けるようになります。一文を論理的に組み立てる方法も楽しく習得できます。

    この『出口先生の頭がよくなる漢字』のサンプル画像を当サイトにて7月24日(木)から特別公開するので、ぜひご覧になってください。
    今までの問題集とは全く違った、楽しみながら身に付く漢字の学習を、親子でぜひトライしてみてください。

    ―編集部からのお知らせ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
    漢字本『出口先生の頭がよくなる漢字』特集が決定!
    中身を特別にお見せします!
    7月24日(木)特別公開です!
    ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    (次週へ続く)

  • 第8回(2)
    高度な要約もクリアできる、大切なルールとは?

    低学年のうちから、日本語を論理的に使う練習をしてほしいもう一つの理由は、なるべく無理なく子どもに論理的思考を習慣づけてあげたいからです。問題を解いているときだけ論理的に考えようとしても、ふだんの生活で今まで通りのあいまいな日本語を使っていては、なかなか論理的思考力は育たないものです。本物の学力を育てるためには、日頃から言葉を論理的に使う意識が大切です。

    ところが、学年が上になるほど感覚的な言葉の使い方や読み方が染み付いてしまい、論理的な思考に切り替えるのが難しくなってしまいます。 できれば、低学年のうちから論理的に日本語を使う経験をさせて無理なく習慣にできると、子どもの学力はもっと自然に伸びていくことでしょう。

    要約の力を高めるために、以下のような思考のルールを身につけてほしいと思います。

    まず、文章を読んだら常に、「趣旨」と「要点」を見つけようとすること。
    「趣旨」とは、つまり結論です。作者は、結論をわかってもらえるように筋道を立てて文章を書くのですが、その筋道を組み立てるための複数の文が「要点」になります。

    この「趣旨」といくつかの「要点」を整理して、あらためて一つのまとまった文章にすることを要約といいます。 問題となる文章が長文になれば、ただ並べるだけでは筋の通った要約になりません。ですから、整理をして読みやすくまとめる力が必要です。そして、その出来映えが、試験で問われる「要約する力」なのです。

    以下のテキストは、小学校5年生の社会科の問題です。前回の冒頭でお話したように、もはや社会科は、ただ地名や年代を覚える科目ではありません。現代の社会に起きている現象や記録から問題点を探し出し、その解決方法を考える力が重視されています。(『日本語論理トレーニング』小学5年 基礎編 p58-59/小学館 )

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    この問題では、先生と生徒の会話から日本の産業の現状を読みとり、その原因と結果を要約して答えなくてはなりません。

    つまり、原因(A)と結果(B)を探し出し、「AだからBである」とまとめなくてはならないのです。もし、文章が2文以上になる場合は、正しい接続詞を使うことも求められます。

    小学生のうちから、このような練習を続けて力を蓄えた子どもは、近い将来の受験に大きなアドバンテージをもって望むことができるでしょう。そのためにも、ぜひお母さん主導で論理的に日本語を使う経験をさせてあげてください。

    次回からは、自分の考えを自在に文章にする力=表現力についてお話します。

    (次週へ続く)

  • 第8回(1)
    これからの受験に求められる、
    「要約する力」の身につけ方とは?

    要約には意識すべき「ルール」があります。

    ここ数年、公立私立を問わず中学・高校受験では、文章を「要約する力」を問う問題が多くなっていることをご存知ですか?

    じつは、暗記科目のように思われていた社会や理科でも、その傾向がはっきりとあらわれています。これまでのような、問題のパターンを覚えるという学習方法では、解答できない問題が増えているのです。

    なぜ要約する力が問われるようになったのでしょうか?

    その理由は、5~6年後に予定されている大学受験改革にともない、中学・高校でも自分で考えて問題を解決する力を育てる学習を重視するようになってきているから。 つまり、暗記型のテストで高得点を取ることができるだけでは、授業についていけなくなるのです。

    現在、多くの学校は、論理的に本質を読み取り考える力=論理的思考力を持つ子を入学させたいと考えています。

    このように説明すると、難しく感じられるかもしれませんが、論理的な規則にしたがって日本語を読む習慣さえ身につけていれば、それほど難しい話ではありません。

    これまでにお話してきた言語力・読解力を土台にすれば、論理的に文章を整理してまとめることは誰にでもできることなのです。

    『日本語論理トレーニング』では、低学年から要約する練習をはじめます。以下の問題を見てください。(『日本語論理トレーニング』小学3年 習熟編 p44-45/小学館 )

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    「要約する」とはどんなことなのかを意識しながら取り組んでもらうために、最初に要約する時に必要なことを説明しています。その上で、「まず述語を見つける」→「主語をさがす」というステップを踏みながら、要約するときの規則を練習していくのです。

    さらに、同じページの中に「論理ポイント」として、考え方のヒントや文字数のあわせ方など、解答の仕方もアドバイスしています。

    このような日本語を論理的に使う方法は、小学校1年生から高校3年生まで基本的に同じです。頭の使い方も、変わらないといっていいでしょう。ただ、あつかう文章の内容が高度になることによって、答えを導き出すプロセスが複雑になるだけのこと。

    『日本語論理トレーニング』では低学年のうちから言語力→読解力→思考力と順々に身につけ、各学年で基礎・習熟・応用と何度も繰り返すことで、論理的思考力は確実にレベルアップしていきます。

    そして、なるべく早く日本語を論理的に使う練習をはじめるメリットはもう一つあります。

    (次週へ続く)

  • 第7回(2)
    むずかしそうな論説文問題……。
    じつは簡単に答えが見つかるのです。

    大学受験まで使える、 論説文を読み解くコツとは?

    以前、私が予備校の東大クラスで授業をした時のことです。私が教えていたのは、トップクラスの進学校に通うほどの優秀な生徒たちです。しかし、最初の授業で前年度のセンター試験の論説文を読ませて、「何が書いてあったか、説明しなさい」というと、どうなったでしょうか。

    指された生徒はしどろもどろになって、「なんとなくはわかっている」と答えました。そして、「でも、説明できない」と言うのです。

    「なんとなく分かった」つもりでも、頭の中で整理できていなければ本当に分かったことにはなりません。危機感をもった高校生たちは、そこからようやく論理のトレーニングをはじめるのです。

    しかし論理は、一朝一夕で身に付くわけではありません。 彼らはきっと、受験を目の前にして、「もっと前に、誰かが教えてくれたらよかったのに」と思ったに違いありません。

    将来そんな風にお子さんたちが後悔しないよう、ぜひ今からお母さん主導で文章を論理的に読み解くためのトレーニングをしてあげてほしいのです。

    じつは前回ご紹介した小学生のための論説文も、高校生たちが苦戦するセンター試験の問題も、基本的な仕組みは同じなのです。

    どれだけ文章が長くても作者の主張はひとつです。その主張を理解してもらうために、作者は具体例をあげ、理由を説明しています。

    つまり、文章中には主張を裏付けるためのたくさんの証拠が並んでいるということです。 それさえわかっていれば、内容を説明するのもそれほど難しいことではないでしょう。

    では、作者の主張を見つけるステップを、以下の問題で説明します。(『日本語論理トレーニング』小学4年 習熟編 p10-11/小学館 )

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    この問題の文章の書き出しは「お寺や神社」のことなので、国語を「なんとなく」で解いている子どもはそれがテーマ(話題)だと思ってしまうかもしれませんが、テーマは別のところにあります。

    その主張をきちんと見つけられるよう、問題①のそばに「くり返し使われている言葉をさがそう」とヒントが書かれています。また、作者の主張についても、「文章の始めのほうか、終わりのほうに書いてあることが多いよ」と注意をうながしています。

    このように意識をうながすことで、「なんとなく」で作者の主張を考えるのではなく、きちんと「文中から」探し出せるようになるのです。

    もちろん、中学・高校・大学では文章の難易度がどんどん高くなってきます。小学生のうちから作者の主張を見つける力を無理なく育てることが、子どもの将来に役立つ力のひとつとなることでしょう。

    (問題の答え (1)日本の建物 (2)日本,建物,日本,風土に合っている)

    (次週へ続く)

  • 第7回(1)
    むずかしそうな論説文問題……。
    じつは簡単に答えが見つかるのです。

    論説文をじょうずに読むための、着実なステップとは?

    論説文は、国語の長文問題に最も多く使用されます。しかし小学生にとっては、教科書や問題集で触れる程度で、あまり読む機会がないかもしれません。

    そのため、なかには読む前から「むずかしそう」と感じ、苦手意識をもつお子さんもいるでしょう。

    まだ論理的な読み方ができないお子さんには、論説文を読解するための着実なステップが必要なのです。

    そもそも論説文とは、作者が知らせたい事実や自分の主張を伝えるための文章です。読めば誰でも理解できるように、考えぬかれた構成によってわかりやすく表現されています。つまり、すぐれた論説文ほど作者の言いたいことが明らかで、文章の趣旨もつかみやすいものであるということです。

    それゆえ、しっかり読めば書いてあることのおおよそは理解できるでしょう。でも、本当にお子さんは文章の内容を「正しく」つかめているでしょうか?

    じつは論説文には、論理的に読む力を養うための要素がつまっています。これほど、読解力を身につけるのにふさわしい文章はありません。(論理文章検定では、論説文についての読解力を「論理的読解力B」としています)

    論説文の読み方のステップとして、まずは内容を正しくつかむために、「作者はなにを説明しようとしているのか?」という意識を持つよううながすことが大切です。

    『日本語論理トレーニング』(小学館)で、論説問題の答えの導き方をみてみましょう。 (『日本語論理トレーニング』小学2年 応用編 p28-29/小学館 )

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    この文章では、「なぜほにゅうるいと、カメやカエルのあしの数が同じなのでしょうか。」と作者は問いかけています。

    その部分が設問にもなっているわけですが、その答えを導きだす前に、体に骨がある生き物とない生き物にわけて、ほにゅうるいとカメ・カエルなどの仲間には共通点があることを読みとらせています。

    このように、段階的に文章を読み解けば、作者が伝えたかった事実が「正しく」つかめるのです。段階的に読む練習をつむことで、お子さんは自然と読解の力を蓄えていきます。繰り返すうちにきっと、論説文はむずかしくないと分かるはずです。

    読解力はその子が成長するにつれて、とても大きな意味を持ってきます。予備校で出会う高校生たちを前に、私はそのことを痛感していました。

    だからこそ小学生のうちから、論説文に対する苦手意識を変えて、着実に読解力を鍛えていけるよう、サポートをしてあげてほしいのです。

    (問題の答え  (1)【ほねがある生きもの】人間 イヌ ネコ カメ トカゲ カエル イモリ 魚 鳥(このうち3つ)【ほねがない生きもの】こん虫 イカ タコ 貝のなかま(このうち3つ) (2)ほね,魚,前あし,はら,後あし) 

    (次週へ続く)

  • 第6回(2)
    小説や詩などの文学的な文章問題を
    解けるようになるために必要なこととは?

    文学作品こそ論理が必要?

    「国語の問題に文学作品はふさわしくない」という意見をときおり耳にします。小説や詩は作者の感性の表現であり、読み方も自由で良いのだから、一部分を抜き出して答えさせるテストには向かないのでは?という意見のようです。

    でも、本当にそうでしょうか? 

    私は、作者の思いが込められた箇所を抜粋した問題には、読解力を育てる大きな効果があると考えています。たしかに、ストーリーや設定など、一切わからないまま作品の一部分を読んで解釈するのは、子どもたちにとって簡単なことではないでしょう。しかし、作者の思いが強くこめられている部分だからこそ、そこにある「表現」を理解できるかどうかが重要になります。

    そのためにはひとつひとつの言葉を正確につかみ、また、言葉のつながりをしっかりと意識することが大切です。すなわち、「論理力」が必要なのです。

    以下の問題は、萩原朔太郎の『野原に寝る』という作品を取り上げています。 (『新日本語トレーニング』実践読解力編(下) p48~49/小学館 )

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    まず、「この感情の伸びてゆくありさま」という書き出しと、そのあとに続く、新しい命が芽吹く野原の描写が重なり合っていることに着目してください。

    その上で、キーワードとなる言葉を見つけていけば、設問への答えは見えてきます。「春」という言葉は直接文中には書かれていません。しかし、「うららかな」という表現が作者からの「春を表すメッセージ」なのです。また、作中に4回も出てくる「伸びてゆく」という表現は「なぜ4回も出てきたのだろう?」と考えれば、この表現こそが本作のテーマであると分かるはずです。

    このようにして、お子さんが客観的に文学作品を読めるようになれば、お話の内容が面白いかどうかにかかわらず、作品自体を鑑賞できるようになります。さらに、表現方法や秘められた作者の意図を積極的に読みとれるようになるのです。

    それを支える手段としては「読書」が有効です。「うちの子は本をたくさん読んでいるのに、国語の点数が悪い」というご家庭のお子さんは、同じタイプの本ばかり繰りかえし読んでいるのではないでしょうか。 それでは、あまり読解力の進歩はのぞめません。機会を見て、子どもの時期にこそ読んでほしい作品をお母さんからすすめてあげてほしいと思います。 その際、ただ漫然と読むのではなく、できれば親子で文学作品に触れて、お母さん主導で作品を客観的な視点を意識して語り合ってみてください。そうすることで、お子さんの読解力は飛躍的に伸びることでしょう。

    苦手だと思っていた文学作品も、客観的、すなわち論理的に読み解くことで、作者の思いが理解できるようになるはずです。

    (問題の答え (1)春 (2)伸びてゆく)

    (次週へ続く)

  • 第6回(1)
    小説や詩などの文学的な文章問題を
    解けるようになるために必要なこととは?

    絶対に知っておきたい
    読解の「基本」とは?

    論理的に文章を読む習慣があると、未知の国の物語や遠い昔や未来が舞台のお話でも、小学校低学年からきちんと読みとれるようになります。
    (このような文学作品についての読解力を論理文章検定では、「論理的読解力A」としています)

    そのためには、まず、「私はこう思う」という主観ではなく、小説や詩に書かれている「表現」を情報として読みとる「客観」が必要です。こう書くとむずかしいことのようですが、じつはその基礎となるのは、前回お話した「論理的言語力」です。主語・述語を意識して、文章を理解できるようになっていれば、読解の準備はOKです。

    お子さんが問題を解くときには、ただストーリーを追うのではなく、作者が思いをこめた「言葉」を発見し、文章に描かれた風景がもつ意味や登場人物の心情をその言葉から客観的に理解していくなど、ていねいに読む練習を重ねるようにしてください。そうすれば小学生でも「客観的読解力」は必ず身につきます。

    その練習教材として私が作ったのが、『新日本語トレーニング』(小学館)です。子どもたちがさまざまな世界が追体験できるよう、童話・小説・詩など子どもたちの心の栄養になるような名作ばかりを厳選しました。小学校4年生以上が対象で、学年に関係なくステップアップしていける仕組みです。

    ではまず、以下の問題をご覧ください。宮沢賢治の『注文の多い料理店』を取り上げています。 (『新日本語トレーニング』基礎読解力編(上) p7~p8/小学館 )

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    学校や塾では、「登場人物の気持ちになってみよう」という指導方法があります。しかし、このやり方だと、子どもはストーリーから「自分だったらどう思うだろう?」と勝手に想像をめぐらせてしまうことが少なくありません。これでは「客観的読解力」は身につきません。その上、答えを間違えても「なぜ間違えたのか」分からないままでしょう。

    文学的な文章問題の答えや手がかりは、すべて問題文の中にあります。

    その点を子どもに意識させるために、この問題は抜き出し形式にしているのです。なんでも好きな言葉を入れていいわけではなく、もっとも適切な言葉を文中から探さなくてはいけません。このような経験を重ねることで答えを文中から客観的に読み解く姿勢が身につきます。正解を発見できたときの嬉しさは、子どもを次のステップへと後押しします。 「できる!」という楽しさを感じさせることが何よりも大切なのです。

    まずは、「登場人物の気持ちになる」のではなく、答えはすべて文中に隠されているということを意識することからはじめましょう。

    (問題の答え (1)戻ろう (2)あるきたくない (3)食べたい)

    (次週へ続く)

  • 第5回
    学力に大きな差がつく、「力」の正体とは?

    日本語を正しく使う力=「論理的言語力」は
    すべての学力の基礎となる力です。

    幼少期によくあることですが、お子さんが何かを伝えたくて一生懸命に話をしていても、言いたいことがつかめなかった、という経験はありませんか? じつは、小学校に入るまでは言葉をしっかりと吸収する時期です。お子さんは、頭の中にある言葉を整理して、さらに相手にわかりやすく伝えるという力が育っていなかっただけなのです。

    情報を自分の言葉として組み立てるには、日本語をただしく使う力=「言語力」が必要です。そして、この力の育ち方次第で、小学校に入ってからの学力に大きな差がでます。

    授業で教わることは、低学年の子どもにとってはかなりの情報量です。はじめは覚えるだけで精一杯でしょう。そしてせっかくの勉強も、脈絡もなく頭の中に詰め込まれただけでは、身についたとはいえません。

    小学校1年生の国語のテストは、大人が見るととても簡単なものです。わが子が間違えると「こんなのがわからないの!?」と親はがっかり……というのもよくあることです。でも、なかには、しっかりと解答できる子どももいます。しかし、それを「国語のセンスがあるから」と決めつけてしまってはいけません。
    なぜなら、「言語力」は生まれつきの能力ではないからです。できる子は、言葉を整理する力を家族とのおしゃべりや読み聞かせなどから学んだのでしょう。
    つまり、言葉の力は後天的な学習によって十分身につけられるのです。

    私が開発した教材『日本語論理トレーニング』(小学館)は、小学校1年生から体系的に論理力を学べるようにつくられています。下の問題を見てください。
    (『日本語論理トレーニング』小学1年 習熟編 p44/小学館)

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    少し時間をかければ、正解にたどりつけるお子さんが多いと思います。でも、どのように正解にたどりついたかが重要です。P44の問題を例にあげるならば、「パンケーキです」「だいすきな」「きょうの」「おやつは」、この4つの言葉を感覚で何となくつなげるか。主語「おやつは」・述語「パンケーキです」を発見し、「だいすきな」「きょうの」がどの言葉を修飾しているかを理解して解答するか。その理解の差の積み重ねは、親御さんが想像している以上に大きくなります。

    繰り返しますが、国語はセンスではありません。大事なのは正しい日本語の使い方を知っているかどうかです。そしてそれは今からでも十分鍛えることができるのです。

    次回は、文章を確実に読み解く力がつく、「読解力」の練習方法と教材についてお話しします。

    (問題の答え パンケーキです[4] だいすきな[3] きょうの[1] おやつは[2])

    (次週へ続く)

  • 第4回
    勉強ができる子に共通する特徴とは?

    役に立つ本当の論理力を育てることを目指す
    論理文章検定には5つの分野(当連載第3回(2)を参照)があります。
    その練習教材としておすすめしたいのが『日本語論理トレーニング』(小学館)。
    基礎からしっかりと論理力を育てる仕組みがあります。

    「国語ができる子は、勉強ができる」ということがよく言われます。でも、その理由をちゃんと説明できる人は少ないかもしれません。しかし、「国語ができる」を「論理力がある」と置きかえてみてください。すると、この言葉の本当の意味が見えてきませんか? 

    論理力とは、日本語を正しく使って筋道を立てて考えるということ。じつは小学校の学習は、問題文を読んで筋道を立てて考えられたら、どの科目でもほぼクリアできてしまうのです。

    先日、おかあさん方との対談で、「国語が苦手だ」という息子さんたちが論理エンジンの教材に強い興味を示したという嬉しい話を聞きました。子どもたちの、「国語が苦手だ」という弱音は、じつは勉強法についてSOSを出しているということでもあるのです。 本来子どもは、「できる」ようになることが大好きです。きっとその男の子たちは、「なんだか、自分のやり方だとうまくいかないぞ」と、思っていたのでしょう。だから論理エンジンで、感覚ではなく、確実に答えを見つける方法を知り、「できる」と思えたことがとても嬉しかったのだと思います。そして、このように論理で問題を解決する力を手に入れた子どもは、そこからぐんぐん伸びていきます。

    それでは、「筋道を立てること」について『日本語論理トレーニング』(小学館)の実際の問題をつかって、お話ししましょう。以下の問題は、理科を題材とした問題です。
    (『日本語論理トレーニング』小学3年 基礎編 p52/小学館 )

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    この問題は、「光が空気の中をまっすぐに進むことをたしかめる実験」について考えるもの。①~④の手順が何をしているのかをしっかり理解する必要があります。問題文やイラストのひとつひとつに注目して筋道を立てて考えれば、自然と子どもの頭の中で答えをみちびけるような構成になっています。

    これが進学塾だと、順序を覚えることばかり指導されるようですが、それでは自分から考え解答する力は身につきません。まず覚えるというやり方は、小学校時代はよくても、中学高校では通用しなくなっていきます。勉強の内容自体もむずかしくなり、しかも覚える量が増えるからです。結局そのような方法は、長い目で見ると子どもの負担にしかならないと言えるでしょう。逆にいえば、筋道を立てて考える練習をしていけば、どの科目もクリアできるというわけです。

    『日本語論理トレーニング』は各学年、基礎・習熟・応用と3冊で一組。そのうち半分は国語で、残りは算数・理科・社会を題材とした問題で構成されています。ぜひ、「論理力がある子は、ほかの科目もできる」ことを親子で実感してください。

    次回は、学力の基礎作りとなる「論理的言語力」についてお話しします。

    (問題の答え ①ウ ②イ ③ア ④エ  空気が〔動いていても〕、光は〔まっすぐに〕進むことがわかりました。)

    (次週へ続く)

  • 〈特別対談〉
    出口汪×小学生ママ
    「家庭でしかできない論理の学習とは?」

    対談 ~その4~
    子どもと論理的な会話をするためには?

    出口
    親子であっても別々の人間です。小学校の頃は、子どもが自立する時期だからこそ、親御さんには感覚ではなく論理で筋道を立てた会話を心がけてほしいのです。そのためには、他者意識をもたないと論理の力が働きません。でも、じつは家族が一番むずかしい。一緒に暮らしているためにかえって他者意識が芽生えにくく、お互いを理解しようという気持ちになれないようです。

    Tさん
    だから、「どうせ親に言ってもわかってくれない」と言われたりするのですね……。

    出口
    早熟な子ほど早く自立しますが、それこそが他者意識の芽生えでもあるのです。親を自分とは別の人間として意識するようになると、子どもは孤独を感じ、はじめて自分の価値観で物事を考えようとしはじめます。だから、この時期の読書は大切なのです。子どもがまだ自分の考えをうまく整理できず表現できないとき、優れた文学作品や評論文は彼らに的確で豊かな言葉を与えてくれます。

    Iさん
    そんな時期に、親は何ができるのでしょうか?

    出口
    お母さんと子どもが同じ本を読んだり、一緒にひとつのことを学ぶのもいいでしょう。たとえば、私の『新日本語トレーニング』(小学館)は、小学校4年生から対象ですが、宮沢賢治、森鴎外、中原中也といった日本文学の名作を題材にした6冊テキストで論理力を段階的に学べる仕組みです。ただ読むだけではなく、正確に日本語を使いこなす訓練ができるので、文学作品を深く読み取る力が身につきます。親子で一緒に取り組めば、きっとそこに会話が生まれるでしょう。まずは親が子どもを守り指図をするという関係から離れて、親子で一緒に論理的な会話ができる環境を作ることが大切です。

    Iさん
    思春期は子どもも苦しい時期だとわかりました。親がどう寄り添うかで良い方向に変わっていけるのであれば、挑戦してみようと思います。

    Tさん
    思春期の子どもと何を話し合えばいいのかわからず、上手くわかり合えないのが悩みでしたが、優れた文学作品が親子の真ん中にあれば論理的な会話が生まれそうですね。今日から一人の人間同士として子どもと向き合いたいと思います。子どもだけではなく主人や家族みんなとの接し方も考えなくては……。

    出口
    高学年なら親子で同じものが読めますし、論理の勉強はきっとお母さんにとっても新鮮で楽しい体験だと思います。お子さんの教育について、他者意識をもってご主人とじっくり相談してみてください。
    新しい大学受験制度がスタートするまでは、様々な情報が飛び交い、進路の選択に悩むことがあるかもしれません。私はこれからもサイトや著作から正確な情報をお伝えし、みなさんをバックアップしていきたいと思っています。ぜひ参考になさって、お子さんにあった教育を選んであげてください。

    ----次回からは、「日本語論理トレーニング」(小学館)から、子どものための論理の練習問題についてお話しします----

  • 〈特別対談〉
    出口汪×小学生ママ
    「家庭でしかできない論理の学習とは?」

    対談 ~その3~
    小学生からできる論理的な学習のポイントとは?

    出口
    小学校高学年はとても大事な時期です。小学校に入学するころから、子どもたちの脳には多様な言語によって脳の情報がどんどん書き加えられています。様々な情報が頭の中で渦巻いているのはどの子も同じですが、小学校高学年にもなると論理的な言葉遣いができるようになるかどうかの一つの節目を迎えることになります。過去に、全国でもトップレベルの中高一貫私立の入試をほとんど満点という前例のない成績で通った生徒が、じつは小学校低学年のうちはずっと喋らない子どもだった、という話を聞いたことがあります。ご両親は相当心配されたと思いますが、おそらくその子は、情報を整理してきちんと説明できるようになるまで喋らなかったのでしょう。小学生の頃は、親が気づかないうちに言葉の発達に大きな差がでてくる時期なのです。

    Tさん
    高学年は、思春期を迎える難しい時期でもありますが……。

    出口
    そうですね。思春期までに論理的な言葉の使い方がどれだけ経験できているかが、その後の学習においてもとても大きな意味を持ちます。小学校5年生から中学校にかけては、抽象度の高い情報を基に学習する力が求められますが、それまでのような自分の経験や具体物による学習ではなく、算数・数学、理科、歴史などの知識を本から読みとらなくてはなりません。それを自分なりに整理して、はじめて「わかった」「できた」という実感を獲得できるのです。つまり情報が雑多で未整理のままでは、子どもは思考停止に陥って、勉強が苦痛になるだけなのです。そしてこの学習の基礎ともいえる「論理的な言葉の使い方」を子どもに教えられるのは、正直に言って「家庭」しかありません。

    Tさん
    家庭だけですか!? 私にもできるでしょうか……。

    出口
    もちろんです。親の熱意の方向さえ間違わなければいいのです。子どもが自立しようという時に、頭ごなしに「勉強しなさい」と言ったり、心配のあまり行動を制限しすぎて親離れを阻害するようなことは禁物です。

    Tさん
    そうした親子関係の中で論理は身に付くものなのでしょうか?

    出口
    母と子どもの繋がりには目を見張るものがあります。子どもとよく会話をするお父さんも大事ですが、一般的にお母さんのほうが子どもと会話をする時間が多いもの。母親は、お腹を痛めただけではなく、その子の言語能力を作っているといってもいいでしょう。

    Iさん
    でも、思春期は親離れ子離れ、自立の時期でもあり、どう接したらいいのか悩むことも多いです。

    出口
    一人の人間同士として子どもに敬意を持って話すのが一番いいと思います。このような考え方は「他者意識」といって、論理的に思考するための大前提なのです。

    (次週へ続く)

  • 〈特別対談〉
    出口汪×小学生ママ
    「家庭でしかできない論理の学習とは?」

    対談 ~その2~
    今の子どもたちに論理思考が定着しない理由とは

    出口
    日本人が思考し解決のための道筋を見つけていく上で、もっとも大切なものは言語運用能力です。これは日本語を論理的に使う経験によって養われます。就職でも仕事でもこれらの能力は不可欠ですから、言語運用能力というのは人生を生き抜くための武器と言ってもいいでしょう。ただし、詰め込みに偏った教育を受けていては、大人になってもその力は身に付きません。

    Iさん
    塾で勉強させていれば良いというわけではないのですね。

    出口
    はい。じつは今の時代の流行や風潮は、子どもの論理力を育てるのに適していません。たとえば僕は団塊の少しあとの世代ですが、当時は、高校生でも哲学書を読むことが珍しくありませんでした。マルクスや吉本隆明が人気がありました。大学に行ったら、全共闘世代の留年した先輩がいっぱいいて、そういう書物を読んでいない人は相手にされなかったんです。理解できていたかどうかはさておき、脳細胞が若い時期にあえて背伸びをして難しい言葉を使うことには論理的な訓練として意味があります。

    Tさん
    今の子ども達には、そういう機会はなさそうです。

    出口
    難しい評論や哲学書は読まないし、友人に議論を持ちかけようものなら避けられてしまうでしょう。これでは大人になるまでに、論理的な言葉を使う習慣が身につきません。今の子どもたちは、近代文学を読まずにライトノベル・携帯小説などを好み、メールでも文章よりも絵文字が欠かせない。それはすべて、「好き」「嫌い」「かわいい」「うざい」といった感情的な言葉を表すものです。

    Iさん
    確かに私たちが子どもの頃と比べても、アニメやゲームなどの映像的な楽しみが子どもたちの生活の主流になっているような……。

    出口
    音と映像による娯楽は、刺激を与え何となくわかった気にさせておしまいなんです。その中心に、言葉はありません。そして、勉強といえば、繰り返しや暗記を中心とした詰め込み型。これでは考える力が育つわけがありません。

    Tさん
    先生のお話を聞いて、怖くなってきました……。

    出口
    結局、子どもの知的な基盤は、親がつくっているわけです。言語運用能力という点で言うと、生まれたばかりの赤ちゃんの脳は白紙の状態です。そこに、親が語りかける言語によって情報が書き込まれていく。それが母国語になり、思考や感性を左右します。お母さんがよく話しかけたり絵本を読んだりするといいといわれるのは、それが理由です。幼稚園や保育園では親以外の情報も入ってくるようになりますが、家庭から足を一歩踏み出したくらいなので、まだ、たいしたことはない。小学生からが肝心です。

    Iさん
    うちの子は小6ですが、これからでも間に合うでしょうか(笑)?

    (次週へ続く)

  • 〈特別対談〉
    出口汪×小学生ママ
    「家庭でしかできない論理の学習とは?」

    対談 ~その1~
    「21世紀型」学力でしか今後は生き残れない!?

    5~6年先に大学受験が大きく変わることになりそうですが、TさんとIさんのお子さんは現在小学校6年生。まさに、その変化の時期に大学受験を迎えることになります。

    小学校6年生男子のお母さん、TさんとIさん(左)。国語がちょっと苦手という息子さんが論理エンジンの問題集を「クイズみたいで面白い!」と意欲的に取り組んだという、お二人共通のエピソードが印象的でした。

    Iさん
    新しい受験制度の内容が、雑誌や新聞などの情報ではどこまで確定しているのかわかりにくくて困っています。

    Tさん
    これからの中高6年間をどのように過ごすのか、不安です。子どもにどんな学習をさせたらいいか……。

    出口
    今もっとも重要視されるべき「21世紀型」学力とは、自分で問題を発見し解決する力です。PISA(国際学力調査)は、各国の目指す学力を「20世紀型」と「21世紀型」に分類して研究しています。これまでの日本は、典型的な「20世紀型」。つまり、欧米先進国の文化や技術を早く正確に模倣するための力を育てる教育を行ってきました。しかし、それはすでに世界的に見て古いタイプの学力観なのです。日本の未来には役に立ちません。今回の受験改革も、そこに対応しようとしています。

    Tさん
    これまでの偏差値を物差しにするような受験では「21世紀型」学力は計れないということでしょうか?

    出口
    そのとおりです。「21世紀型」学力とはまさに論理力のことなんです。現在、そこをいかに判定するかをPISAなど国際レベルの機関が研究を進めています。一時期、ゆとり教育は失敗だったといわれ、また詰め込み型の教育に揺り戻しがおきそうになりました。しかし、これはナンセンスなこと。世界的な潮流は、まさに「ゆとり教育」がめざしていた方向を向いています。文科省の知識偏重の従来の日本の教育を変えるという方針は間違っていなかったのです。

    Iさん
    ゆとり教育では、テストの平均点が低くなったという批判がありましたが……。

    出口
    テストの点数を上げるなら、たとえば算数や数学では、いろんな解法パターンを詰め込めばいいだけです。でも、そんな力は、世の中で仕事をするときにはまるで役に立ちません。計算はコンピューターの方が上、理科や社会も検索すればいいんです。漢字もワープロ変換できます。つまりそんな意味のないことを続けていても、子どもたちが学習意欲をかき立てられるとは思えません。

    Tさん
    今回、出口先生が監修された論理エンジンの問題集を子どもにやらせてみたのですが、ふだんは「国語は苦手」という息子でも、クイズのようで面白いといって問題を解き進んでいくので驚きました。

    Iさん
    うちの子もそうでした。今までの国語学習とは違って、感覚ではなく筋道を立てれば必ず答えが見えてくるので面白いと言っていたのが印象的でした。

    出口
    それは嬉しいですね。お二人が言われたことは、じつは入試が変わること以上に大事なことなんです。

    (次週へ続く)

  • 第3回(2)
    小学生が論理力を伸ばすためにはじめること

    5つの分野から論理力を
    総合的に育成する論理文章検定

    国際標準論理文章能力検定(以下、論理文章検定)は、総合的で実践的な論理力を身につけるプログラムです。この検定をスタートした大きな理由は2つ。ひとつは、論理エンジンの受講者から論理力を測るものさしが欲しいという要望があったこと。また、検定が学習を進めるにあたって励みになることが予想されたからです。

    第1~2回で取り上げた教育再生実行会議は、今回の大学改革において、多角的に生徒の資質を見るという観点から、民間検定(英語でいえばTOEFL、TOEIC、英検など)のグレードやスコアを合否材料に採用することを勧めていますが、論理文章検定は日本語に関する検定のひとつの柱になると自負しています。すでに、AO・推薦入試の判定に採用している大学が全国的に広がりを見せつつあります。

    では、実際に検定の内容を見ていきましょう。論理検定は小学1年生から社会人レベルまで6段階に分かれ、それぞれの段階で論理力を5つの分野に分けて問題を構成しています。5つの分野は、以下のとおり。

    (1)論理的言語力
    日本語を正確に扱う力
    (2)論理的読解力A
    客観的に小説や物語の内容を把握する力
    (3)論理的読解力B
    論説文を適切に読み、構造を解析する力
    (4)論理的思考力
    論点を整理して、文章をまとめて記述する力
    (5)論理的表現力
    他者に対して、自分の考えを論理的に述べる力

    検定の結果は合否だけではなく、どの分野の力が足りないのかについても判定します。たとえ合格点に至らなくても、自分の課題がわかるので学習を進めかたがわかりやすい仕組みです(問題例やレベル分けなど詳細は、論理文章検定のサイトをご覧くださいhttp://www.kisoryoku.or.jp/ronri/)。

    小学1年生から検定というと、「小学生のうちからそんなに勉強させなくても」「勉強よりも大切なものがある」という反応もあります。しかし、その言葉のなかの「勉強」とは、これまでの古い歪んだ詰め込み型の受験勉強を指しているのではないでしょうか?

    学力は、人生を豊かに生きるためのもの。自分のやりたいことを実現させるためのものなのです。論理力は、今後の受験に打ち勝つためだけでなく、子ども自身が自分らしく且つ向上心を持って生きていくための、大きな土台となります。

    では、その土台をいかに学んでいくか。次回は、論理エンジンを体験したお子さんの保護者の皆さんと、その実践方法を検証していきます。

    (次週へ続く)

  • 第3回(1)
    小学生が論理力を伸ばすためにはじめること

    親の情報収集力によって、
    子どもの未来が変わる?

    知識の暗記は、ある程度の期間集中すればなんとかなります。しかし、日本語を適切に使う力は、時間をかけて意識的に訓練しなくては身につきません。たとえば読書はとても大切な習慣ですが、同時に論理的な読み方を教えれば、より子どもの力となり学習面の可能性を広げてくれるでしょう。

    「論理」と聞くと「むずかしそう」「めんどうくさい」という否定的に捉える人もいますが、わかりやすく言えば、人と人が理解しあうための言葉の使い方です。普段の会話もメールも巧拙はあれ、みんな論理の力を使っています。それが試験であっても、問題全体から作り手の意図を読み取り、思考し表現することが本質なのです。

    大学入試の面接においても、求められるのは人柄などではなく、学問への情熱とその思いを表現する論理の力です。大学は生徒に意欲的に学び優秀に成長してほしい。なぜなら、それが大学への評価となり、経営へ大きな影響を及ぼすのですから。面接を重視するというと「短時間に人間性を判断できるのか」と批判をする人がいますが、少々的外れな論議ですね。

    論理力が育っているかどうかは、新しい受験制度において大きな差となってあらわれます。ぜひ、進路や学習方法について新しく正しい情報を獲得し、お子さんに適切な選択肢を与えてあげてください。今までと同じような学習方法に固執していたら、大切な時間と将来性をむだな詰め込みに費やしてしまうかもしれません。というと、「では、どうやって何を教えたらいいの?」という質問が聞こえてきそうですね。

    私の開発した論理エンジンは、無学年別で、子供から大人まで論理力を徹底的に習得するためのプログラムです。といっても、日本語を論理的に扱う能力は基礎の基礎から育てるもの。なるべく早い時期から取り組んでほしいですね。できる子なら小学生でもすらすら解けるという内容なのです。

    これまで、その論理エンジンを基にした検定、論理文章検定を学校や塾などを対象に団体受験のみで実施してきました。しかし今年度からは、いよいよ個人受験もスタート。グレードもこれまでは小学4年生レベルからでしたが、この5月からは新しく小学1年生レベルも始まります。

    次回は、総合的な論理力が身につく、小学一年生からの検定のお話をしましょう。

    (次週へ続く)

  • 第2回(2)
    なぜ今、大学・企業が論理力を求めているのか?

    子どもには教育は選べない。
    親の責任は重大です。

    グローバル化というと、日本人が世界で活躍しなくては!という文脈で語られがちですが、現実はもう少しシビアです。ある企業トップが「日本人1000人の雇用から、いずれ半分の500人は外国人採用になる」と明言しています。つまり、日本人学生の上位半分を雇用したいということで、就活時の競争相手は世界に広がるのです。

    世界的に通用する知的レベルに達していれば恵まれたポジションを獲得できますが、そうでなければ、学力次第で格差が広がっていくといっていいでしょう。グローバル化に対応する力を磨くには就職してからでは遅い。高等教育の期間に鍛えることが必要なのです。

    大学受験に至るまでに、どんな中学高校を選ぶか見極めることが、これからは重要な時期になります。すでに、高校でもその端緒となる改革が始まっています。従来の進学実績は当てになりません。新たな制度が生まれようとしているのです。

    新年度にあたる来月からは、「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」がスタートします。SGHはグローバルな社会やビジネスのシーンで活躍するリーダーの育成を目的とする高校であり、5年後に変わる大学入試に対応したカリキュラムに対応するモデル校です。250校以上の応募の中から、この3月末内定・4月上旬に指定50校が発表予定です。応募校には各都道府県の公立トップ校がずらり。全体の3分の2程度が公立から採用されると関係者から聞いています。

    また、グローバル的人材育成の観点から、もうひとつの大きな変革が行われます。国際的な大学入学資格が取得できる国際バカロレア(IB)の導入です。平成28年度4月を目標に、英語・数学をのぞいて日本語でも各科の授業が受けられるプログラムがスタート。現在のIB認定16校から、5年以内に200校が目標です。ちなみに、日本では東大をはじめとしてIBを入学資格としている大学が約3分の1。IBで優秀な成績をおさめれば、ハーバード大学もオクスフォード大学も入学できます。トップ=東大ではなく、様々な進路が選べるという可能性が広がれば、国内の大学の序列も変化していくことでしょう。

    SGH、IB認定校は、今後の高校選びのひとつの目安。ただ、この教育の流れが小学校のカリキュラムにまでおりてくるのには少し時間がかかります。そんな今の時期だからこそ、小学生の家庭で始めてほしいことがあります。

    (次週へ続く)

  • 第2回(1)
    なぜ今、大学・企業が論理力を求めているのか?

    全体の学力を底上げして
    情熱ある生徒の能力を高める

    達成度テストは国によって実施されるものですが、大学は独自のテストは行わないかというとそうではありません。教育再生実行会議では、各大学に「どういった生徒を募集したいか(アドミッションポリシー)」を明確にした独自の選抜方法を求めています。

    達成度テストのスコアとあわせて、面接・論文・入学後の学修計画案提出、民間検定(英語でいえばTOEFL、TOEIC、英検など)の活用など、多様な選考を行うことは大学には大きな負担ですが、下村文科大臣は「改革を進める大学には、補助金などでバックアップしたい」と述べ、国が費用面で支援する考えを示しています。

    では、なぜそこまでして文科省は改革を成し遂げようとしているのか? それは、「今の知識偏重の教育で育った学生では仕事では役に立たない」「グローバル化に対応できる人材を育ててほしい」という財界の声が政府を強く後押ししているからなのです。正直申し上げて、高校・大学の教育(高等教育)と企業が求める力があまりに乖離しています。

    いくら暗記計算に長け、正解を探し当てる力はあっても、現実の仕事場ではあまり役に立ちません。実際には正解のない問題を解決したり、今までにないものをゼロから作り上げることが仕事なのです。そういった点では、今の日本の教育は世界的に見て相当遅れています。

    これは日本企業としては危機的状況です。世界中の企業が勝ち残りをかけて戦う時代、グローバル化を進めていかなくてはならないのに、その競争に打ち勝つような人材が育ってこない。こうした財界の危機感に応えるために、学生の持つ能力を多角的に育成することが必要だとして、政府が動き始めたのです。

    じつは、教育再生実行会議は文科省ではなく、財界人も参加している内閣府の組織。ここから提案された概要をもとに、文科省にもうけられた中央教育審議会(中教審)が制度していくことになります。つまり、この制度改革の旗ふりは文科省ではなく、内閣なのです。

    これからの教育には語学力と論理力が重要だという認識が政官財一体のものとなって、教育改革が動き始めています。

    では、このような変革のとき、親としては子どものためになにをなすべきでしょうか?

    (次週へ続く)

  • 第1回(2)
    5年後の大学入試改革で、日本の教育に何が始まるのか。

    〈基礎〉〈発展〉2段階のテストを
    クリアして、志望大学を受験できる

    達成度テストは、センター試験に変わる制度になりますが、その仕組みはまったく異なるものになります。基礎レベルと発展レベルの2段階ともに、点数グループでランク分けして学力水準の目安とすることになるでしょう。先日、基礎レベルはこれまでの大検(高卒認定試験)と統一されるという発表もありました。

    現在、ほぼ無試験で合否を決めるようなAO入試を行っている私立大学が少なくなりませんが、このために、高校卒業レベルの学力に満たない大学生がある程度存在していることは否定できません。達成度テストを導入することで、生徒たちは基礎学力アップして大学入試にのぞむことにもなります。

    試験の内容は、教育再生実行会議の提言では、以下のように構想されています。
    〈基礎レベル〉
    高校生としての基本的な学力をはかる。知識や技能だけでなく、その活用力や思考力、判断力、表現力を自らの答えを導きだす能力を問う。
    〈発展レベル〉
    大学教育を受けるために必要な能力を判定する試験。入試選抜に利用可能。各大学が求める学力水準をはかる内容になる。また、〈言語運用能力〉〈数理論理力・分析力〉〈問題解決能力〉を問う問題の開発が検討されている。

    〈基礎〉〈発展〉ともに、いわゆる暗記・記憶型の勉強では対応できない問題が増えてくることは間違いありません。出題の意向や狙いなどを理解した上で、自分の考えを組み立て表現しなくてはならない、論理力を必要とする内容が中心となるでしょう。当然、大学の手前の中学受験・高校受験の内容や形式も今後変わることが予想されます。

    ただ、塾や予備校が得意な、現状の詰め込み型の勉強を低学年のうちから続けていると、いざとなったときに子どもは頭の切り替えが難しく逆効果になりかねません。受験のプロフェッショナルである塾・予備校の多くも、今回の大学入試改革に対する準備ができていないところが多いので、親御さんには注意していただきたいと思います。

    ではなぜ、このような改革が行われるのでしょうか。じつは、日本の教育は今、崖っぷちなのです。

    (次週へ続く)

  • 第1回(1)
    5年後の大学入試改革で、日本の教育に何が始まるのか。

    高校在学中に学力を試される
    欧米型の達成度テストの登場

    新しい大学入試制度の概要が、教育再生実行会議によって、5~6年後の実現をめざし着々とまとまりつつあります。今までの教育改革とは異次元の、大きな変化の時が訪れようとしているのです。

    受験には欠かせない目安であった偏差値も、役に立たなくなってしまうかもしれません。なぜなら、これまでの受験では常識だった「1点刻みで採点する教科型ペーパー試験」が原則廃止となり、点数で輪切りにする偏差値は意味をなさなくなる可能性が高いからです。求められる学力のあり方も大きく変わります。これまでのような「正確に」「早く」「大量に」といった情報処理能力に偏ることなく、自分で問題を見つけ出し、解決策を思考し、それを表現する力=論理力が問われる試験内容になるのです。

    ただ、論理力はむやみに問題集をやったからといってすぐに身につく力ではありません。論理エンジンの開発者として、5年後を見据え、小学生の親御さんにその大切さと本質を知ってほしいと思い、この連載をスタートします。

    今、私が危惧しているのは、大学の入試改革のニュースが正しく伝わっていないのではないかということです。マスコミもふくめ、多くの人たちは未だに今回の大学入試改革の本当の目的を理解していないのではないでしょうか。

    「点数に追われないことで、生徒たちは今までよりも勉強しなくなってしまうのでは?」 そんな声も聞こえてきています。「学力一辺倒の入学試験から脱皮する必要がある」という下村文科大臣の発言を部分的にマスコミが取り上げて、“学力よりも人物重視"という誤解も広まりました。しかし、正確には「学力」の前に「知識偏重の」と入るべきで、実際は高校生たちの学習量はこれまで以上にふえることになるでしょう。

    現在のセンター試験はなくなり、達成度テストとよばれる「基礎レベル」「発展レベル」という2段階のテストが行われることになります。これらのテストは1回勝負ではなく、生徒たちは自分が希望するレベルに達するまで複数回の受験が可能。「発展レベル」は入試の判定に利用できるので、大学側が決めるレベルに達しなければ受験すらできないケースも出てきます。

    では、その「達成度テスト」とは、どのような内容なのでしょうか?