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「「考える力」を身につける本」本日発売

2012.11. 6

「「考える力」を身につける本」(フォレスト新書)、本日発売です。そこで、本文の一部を紹介します。

人が最初に死に物狂いで勉強するのは、おそらく受験期ではないか。

たいていは、そのときに自分なりの勉強の仕方を習得することになる。

いったん身についた勉強法は、人生の途中でなかなか修正することが難しい。

人は受験期の勉強法を、一生続けるのかもしれない。

それならば、合格することよりも、どのような勉強の仕方をしたかのほうが、むし

ろ重要だったのではないか?

勉強は「楽しいから」するもの

勉強は本来遊びだった。

その遊びが高度に発達したのがギリシア時代、日本では平安時代の後宮においてである。ギリシア人は基本的には働かなかった。働くのは奴隷の仕事である。だから、彼らは一生遊んでいればよかったのである。

といっても、今のようにテレビも漫画もゲームもない。彼らの遊びは学問であり、

芸術であり、哲学であり、文学であり、音楽だったのだ。

生涯にわたって遊び続けるには、より高度なものを要求するようになる。そうして、ギリシアで哲学や文学を中心に、今でいう学問が発達した。平安時代に「遊び」が管弦楽のことを意味したのも同じ理由による。

遊びと対極にあるのは仕事である。遊びは本来自由な行為であり、面白いから遊ぶのであり、それに飽きたなら遊びを中止するか、別の遊びを考え出すだろう。それに対して、仕事は自由を制限される。いやなことも時にはしなければならないし、いかに物を生産したのか、利益が上がったのか、その結果が問われるのである。近代合理主義はいかに生産力を高めるかであり、それは遊びを軽視するイデオロギーだった。おそらく多くの人は子どものころ親に「遊んでばかりいないで勉強しなさい」としかられた経験があるだろう。本来、「勉強」は「遊び」であり、この親の言葉は矛盾に満ちた言説であると言える。

この時、遊びであった勉強は、いつの間にか仕事へとすり替わってしまっただ。

遊びであったならば、楽しくて仕方がないからするものであった。そして、生涯にわたってその遊びを楽しもうと、勉強の仕方を工夫したはずである(子どもの遊びでも、より楽しくなるために様々な工夫をする)。

ところが、仕事ならばいやなことでも我慢してしなければならず、いかに偏差値が上がったのか、大学に合格したのか、その結果だけが問われるのである。

そうやって、私たちはいやな勉強を押しつけられ、ひたすら得点獲得の競争に参加させられてきた。そこでは、勝者だけが意味を持つのである。ところが、そうやって詰め込まれてきた勉強が、果たして社会において役に立つのであろうか?

必死になって記憶した知識は単なる知識として生かされることなく、次第に忘却の彼方へと消えていく。教師たちは子どもたちに「がんばれ」という。成績が芳しくないと、子どもたちの努力不足のせいにする。なぜ勉強がこれほど楽しいものだと教えなかったのか?

子供達はそれが楽しければ、生涯にわたって勉強し続けるのである、そうした供達を育成することこそが、教師の力量なのではなかったか?

勉強は苦しいものだ、だから、我慢しなければならないと信じ、合格を勝ち得た人は、たとえ東大に合格しようとも、努力する必要がない限り、これ以上苦しい勉強をしようとはしないだろう。彼らは人生おいてやがて敗者となるに違いない。

それに対して、たとえ志望校に合格できなくても、勉強の楽しさを知り、生涯にわ

たって勉強をし続けたなら、その方が人生においてははるかに成功するのである。それなのに、多くの人たちは受験時代に間違った勉強法を強いられ、社会人になった今でもその方法にしがみついている。受験時代に成功した人ほど、その勉強法から離れることが難しくなっている。

あなたはその方法で生涯勉強していくのだろうか?

私には今一度、自分がどんな勉強の仕方をしているのか、改めて見直してみることが大きな意味を持つと思えるのである。


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